第16回移住者インタビュー『(陸前高田市在住)山本 ひろみ(やまもと ひろみ)さん』

山本 ひろみ(やまもと ひろみ)さん

御出身は

長崎県です。

こちらに来られたきっかけは

結婚です。夫が、2011年の東日本大震災発生後、ボランティアで福島県等に行っていて、松本玄太さん(15回移住者インタビュー)がこちらに移住するということを知り、最初に、夫が松本さんとこちらに移住しました。私はその1年後にこちらに来ました。

それはいつ頃のことでしょうか

平成25年の6月ですね。もうすぐ6年になります。

お仕事は

仕事は、最近退職したばかりで、以前からカフェをやりたいと言っていた友人に誘われ、今後はその友人のカフェを手伝っていく予定です。

カフェはどちらで

(岩手県立)高田病院の近くです。

これまでもそういったお仕事を?

そうですね。高校を卒業後、お菓子の専門学校に行き、専門学校を卒業後は個人菓子店で働いていました。主に製造を担当していたのですが、午後等時間が空いた時には、併設されていたカフェスペースで手伝い等もしていました。友人のカフェは、友人がこれまでカフェで働いた経験や、カフェの運営に関する知識が無いということで、これまでそういった仕事の経験が長い私が手伝うということになりました。友人はもっと以前から私と一緒にカフェをすることについて考えていたみたいなのですが、私がタイミング悪く他の仕事に就いてしまったりしていたので、今回の退職を機に誘われて一緒に始めることになりました。

こちらに来られてからもずっとお菓子関係のお仕事をされていたのでしょうか

こちらに来たばかりの頃は、まだ震災から2年程しか経っていなく、菓子屋等のお店も少なく、またあっても家族経営であったり、仮設店舗の営業で手狭であったりなど、働ける場所があまりありませんでした。一箇所だけ、以前と同じ様なお菓子屋さんを見つけることが出来、しばらくそちらで働かせていただいていました。その後、子どもを授かり仕事はしばらくお休みし、また、そろそろ仕事をと考えていた時に、知り合いから接客業の仕事を紹介されそちらで働きました。その後もカフェ等で働いていたのですが、体調を崩すことが多くなり、また少しお休みしていました。今後は友人のカフェで自分のペースで働いていければいいなと考えています。 

どの様なカフェにされる予定なのでしょうか

カフェは、介護施設の隣でオープンする予定で、近くに高田病院もあり、介護施設や病院に来られた方、またその御家族が、待ち時間等をゆっくりと過ごせるような場所にしていければと考えています。そのため、飲食物もそれほど揃えるつもりはなく、喫茶店というよりは、カフェスペースも広めにとり、来られた方がゆっくりと時間を過ごすことの出来る場所にしていきたいなと考えています。

山本さんの関わり方というのは

オープン前は、キッチン機材の配置や、カフェスペースの机やいす等のインテリアの配置等を一緒に考えたり、オープン後は、私が主にケーキを焼いてというような感じです。

お住まいについては

今はアパートを借りています。

この地域は家賃が高いという話をよく聞きますが

家賃は高いですね。ただ、今住んでいるアパートは、新築で、立地条件や、無料インターネット、浴室乾燥等の設備が充実していることを考えると、そこまで悪くはないのかなと感じています。特に、浴室乾燥機はとても助かっていて、陸前高田市は、冬場やまだ復興工事関係のトラック等も多く、ベランダはすぐ砂ぼこりだらけになってしまうので、外に干すことが出来ない日も多いです。シーツ等大きいものを洗濯したい時や、子どもがまだ小さいので食べこぼし等の洗濯物が多い時は、浴室乾燥機がとてもありがたいです。

地域での移動について

こちらに来てから1時間(という移動時間)が近いという感覚になりました(笑)。実家のある長崎県や、大阪、東京等に遊びに行った時は、20分ぐらいの移動時間がとても短く感じます。

やはり車は必要でしょうか

必要だと思います。そして、狭い道も多いので小回りの利く軽自動車が便利だと思います。以前、関西に住んでいた頃も車は持ってはいましたが、職場と自宅が近かったので、休みの日に少し運転するといった程度でした。こちらに来てからは毎日運転しています。

岩手県では移動距離と時間が長くなってしまうことが多いですが

それは慣れました(笑)。最初は2時間半や3時間以上の移動は疲れていましたが、それも慣れてしまいました(笑)。かえって、子どもがいると家では子どもが中心になり、夫婦の会話が少なくなっていたのですが、車で長距離の移動があると、車内で夫婦で会話をすることが多くなり、夫婦の会話がとても増えました。また、話をしていると目的地まであっという間ですし、今は長距離の移動についてはそういう時間だと思っています(笑)。

収入については

贅沢が出来る程というわけではないですが生活は出来ます。ただ、私たち家族は贅沢がしたいという考え方では無く、美味しいものが食べられていられたらいいんじゃないという考え方ですので(笑)。また、私のお菓子作りのスキルというのは、全国どこに行ってもそれほど収入が高いといった仕事でもないので、一家の大黒柱は夫に任せています(笑)。

お子さんがいらっしゃるとのことですが

今年(2019年)春に3歳になる子と、夏に5歳になる男の子が二人います。

御夫婦とも県外の御出身で子育ては大変ではないでしょうか

そうですね。私が仕事をするとなると、子どもは保育所に預けるしかなく、(陸前高田市には)親子で行ける子育て支援センターや、シルバー人材センターのボランティアが代理家事を行ってくれるといった支援制度等はありますが、急にお願いすることや、託児が出来るわけではありません。現在も保育所に預けていますが、急な病気や発熱等で呼び出しがあれば、私や夫が対応するしかなく、仕事は早退するしかありません。そのため、いつも仕事を探す時は、私たちは核家族で子どもに何かあれば、急に帰らなければいけないこともある、また、土日、祝日は働くことが難しい、もし、土曜日に働くことが出来ても時間に制限が出来てしまう等といった事情を先にお話しさせていただいています。やはり、仕事の面では制限が出てきてしまうのは事実ですね。ただ、幸いなことに、私たち家族は夫が家に仕事を持ち帰り家で仕事をすることも出来ますので、その間は子どもを見ててもらうことが出来ます。夫も「この日は俺が見てられるから、仕事へ行っても大丈夫だよ。」と言ってくれたりしますので、子どもが病気の時等は、お互いのスケジュールを調整しながら、何とかやりくりしています。もし、これが出来ないと子どもの送迎等も考えると、私が仕事をするということは難しいですね。

子育てに関してあればいいなと思う支援制度など

病児や病後児保育が近くにあればいいなと思います。子どもが病気になった時に、もし、病児・病後児保育があれば子どもを預けて仕事に行くことも出来ます。(病児・病後児保育は)看護師と保育士の資格を持った方が必要なので、もしそんな方がいらっしゃるのであれば、私が一緒に始めたいくらいです。

買い物については

やはり女性でお洒落もしたいので、洋服や靴を買えるところがもっと近くにあるといいなと思います。ただ、お店が遠いですね。

普段の買い物はどちらに

(奥州市)水沢(区)です。水沢に夫が好きなお店がありよく行っています。買い物については、最近はインターネット等もあり、買う場所がお店だけではなくなってきているので、生活に必要なものは(こちらでも)揃えることが出来ています。食べ物等については、その場所に行かないと食べられないというのもあると思いますが、かえって、(それ以外の買い物は)インターネットで買う方が、検索して同じ様な商品を安く買うことが出来たり、また、ポイントを貯めたりすることが出来るので便利なのかなと思います。

お店ですと盛岡市に大型ショッピングセンターがありますが

最近は、三陸道が次々に開通していて(仙台市までの距離が)どんどん近くなってきているので、盛岡市よりは石巻市の方に行ってしまいますね。また、子ども達が、私の父や夫もそうなのですが、仮面ライダーが好きなので、(石巻市には)石ノ森萬画館もあり、新しいグッズ等も置いてあるのでよく行きます。

それではお子さんだけではなく御家族で楽しめますね

そうですね。子ども達は仮面ライダーを見ると「じぃじが好きなやつだ。」と言います(笑)。以前、父がこちらに遊びに来た時も、丁度、歴代仮面ライダーの記念展が石ノ森章太郎記念館(宮城県登米市)で開催されていて連れて行きました。とても喜んでいました。他にも石巻市ではイチゴ狩りをすることも出来ます。

石ノ森萬画館にてお子様と

イチゴについては、最近、陸前高田市でもとまととイチゴの産地化ということで、地元産のとまと、イチゴを使ったスイーツコンテストや、一日観光農園等のイベントを開催していますが

知っていました。実は昨年(2018年12月)開催された「気仙とまと・イチゴスイーツフェスティバル」でイチゴの部に出品し、最優秀賞をいただきました。

それはすごいですね!おめでとうございます。今こちらではとまとやイチゴだけではなく、「北限のゆず」としてゆずの特産品化等にも力を入れて取り組んでいますので、山本さんの様にお菓子作りの技術や知識をお持ちの方は、今後地域でご活躍される機会も多いのではないかと思います。

そうですね。ありがとうございます。

山本さんの作品(最優秀賞受賞“いちごとどぶろくのグラスゼリー”)

この地域のその他の食べ物について

海産物がとても美味しいです。お魚は九州でよく獲れ食べられている魚と、こちらでよく獲れ食べられている魚は種類が異なります。長崎県だと鯛や太刀魚がよく獲れ食べられています。また、貝類、特にこちらの牡蠣やホタテ等は、とても大きく、身も厚く、また味も濃くて、とても美味しいです。これまで九州で火を通した後の小さなものしか食べたことがなかったので、こちらの大きな牡蠣やホタテがとても美味しいです。また、牡蠣やホタテ、いくら等は、東京や大阪等に行けば、値段が2倍、3倍となるようなものが、こちらではお手頃な価格で食べることが出来ます。私はイクラが好きなのですが、イクラ丼を1000円程度で食べることが出来るのを知った時は、「えっ」となりました(笑)。もう感動してしまいます。以前、九州から両親が遊びに来た時もこちらの海産物を食べて、「美味しい、美味しい。」と喜んでくれました。知り合いが遊びに来る時もとりあえずこちらの海鮮系のお店に連れて行けば、喜ぶのは間違いありません(笑)。

お気に入りのお店など

お店ではないのですが、友人にお魚屋さんがいて「今これはどうなの。」とよく値段等を聞いています(笑)

こちらでは魚を丸ごと一匹で売っていたりもしますが、一匹で購入されたりもするのでしょうか

買いますね。2年程前に(宮城県気仙沼市の)気仙沼シャークミュージアムの1階のお店で、オスの鱈を一匹700円で買いました。運が良く白子も入っていて、他の地域でその値段で買うことは出来ないと思います。

地域の方については

皆さんとても優しいです。

地域性の違い等は大丈夫でしょうか

大丈夫です。かえって、長崎県の出身というと皆さん「え?なんで?どうして?」と驚いて、余計に興味を持ってもらえ、よかったのかなと思っています。また、次男が知らない人にでもよく話しかけてしまうのですが、その時に皆さん嫌がらず話し相手になってくださるのでとてもありがたいです。

この地域の生活でよいところなど

都会と違って人が多くなく、ゴミゴミしていないところもいいですし、旬のお野菜やお米等いただけるのもとてもありがたいです。いつもとても助かっています。また、新鮮なお野菜等も手に入りやすいので、いつもいいものを食べられているなという実感があります。また、子どもがいるとどうしても子ども中心になってしまうのですが、自分が連れて行くことがそれほど大変ではない場所に、子どもが遊べる場所があったり、また、子ども達だけで遊ばせていても安全な場所が多いですので、それもとても助かっています。都会だとどうしても人が多いので、子どもが騒いでいるのと気になってしまいますし、また、どこに行ったのか心配になってしまいます。こちらは広いですし、子ども達が騒いでいても「元気だね、可愛いね。」と言っていただけるのでそれもとてもありがたいです。

また、こちらは近くに映画館が無いのですが、隣の大船渡市のリアスホール(大船渡市民文化会館・市立図書館)で、定期的に新作映画の鑑賞会をしてくれます。ここから映画館に行くとなると、(宮城県)石巻市や(岩手県)北上市まで行かなくてはならないので、作品は少し前に上映されたものなので最新ではないですが、子どもたちが喜ぶ仮面ライダー等の映画も上映してくれますので、遠くまで行かず見に行くことが出来るのはとても助かっています。他にも、大船渡市では月1回、無料で時間制限無くたくさんの種類のおもちゃで子どもを遊ばせることが出来る「わんぱくひろば」というのが開催されていて、子ども達を色々な種類のおもちゃで、しかも室内で遊ばせることが出来るのがとてもありがたいです。陸前高田市ではまだまだ公園も少ないですので、近くで定期的に子どもを連れて遊びに行くことができる場所があるというのはとても助かります。

不満等は

(不満などは)特にはないですね。今は満足しています。幸せですね。