【第3回けせん食財通信】『陸前高田市広田湾の牡蠣』×マルテン水産 佐々木 眞さん

第3回目のテーマは、豊洲市場で日本一の値をつける陸前高田市広田湾の牡蠣です!

今回は、マルテン水産にお邪魔して、実際に牡蠣養殖の現場を見せていただき、牡蠣漁師 佐々木 眞さんに、食材の魅力生産に対する想いをうかがいました。あわせて「広田湾の牡蠣」が食べられる飲食店をご紹介します!

 

佐々木 眞さん

佐々木 眞さん

 

広田湾の牡蠣

広田湾の牡蠣

2011年東日本大震災津波で全ての牡蠣棚が流されてしまうなど、甚大な被害を被った陸前高田市広田湾の牡蠣養殖漁業。震災前30軒あった牡蠣漁師も、震災後10軒にまで減少してしまったとのこと。

 今回は、震災後も3年物の牡蠣を作り続けるマルテン水産で、牡蠣の養殖から出荷までの流れを見せていただきました!

広田湾に浮かぶ牡蠣棚

広田湾に浮かぶ牡蠣棚

牡蠣棚に吊るされている牡蠣

牡蠣棚に吊るされている牡蠣

陸前高田市広田湾には現在600個のいかだ(牡蠣棚)が浮かんでおり、10軒の牡蠣漁師で配分し、牡蠣を育てているそうです。その牡蠣棚1つひとつに数十本のロープがついており、その一つひとつに牡蠣が何個もぶら下がっています。牡蠣の稚魚は、最初はなんと1mmほど!最初はホタテの貝殻に100個以上付いている状態ですが、マルテン水産では、大きく育てるために10~15個まで間引いているそうです。ここから、気仙川から流れ来る栄養分たっぷりの広田湾の海の中で、3年間、大きくなるまで育てられていきます。

水揚げされた牡蠣

水揚げされた牡蠣

3年かけて大きくなった牡蠣が漁港に水揚げされました!水揚げは、市場が休みの日の前日(土曜日)と船が出せない日以外は、ほぼ毎日行われているそうです。

作業風景

そこから水揚げされた牡蠣を一つ一つはがし、殻についた付着物を取る清掃作業を行います。牡蠣はホタテの貝殻に付着して育つため、牡蠣の殻同士がくっついた状態で水揚げされます。それらをきれいにはがし、海藻などの付着物を取り除いていきます。

作業風景作業風景

作業の様子を見せていただきました。手さばきが早すぎて、写真にまったく写りません(!)あんなに山盛りだった牡蠣も、あっという間にきれいに分けられました。

個々に分けられた牡蠣

一つひとつはがされ、付着物が取り除かれた牡蠣は、生食用で出荷する前に、岩手県の規定で48時間きれいな海水に浸されます。この行程は、牡蠣が取り込んでいる大腸菌などの菌を排出させるために必要なもので、海水に浸す時間は、県によって異なるのだそうです。岩手県が規定している48時間は、全国的にも厳しい規定のようですが、それだけ安全な牡蠣が提供できるということの裏返しでもあるようです。

48時間浸す

15cm以上の牡蠣

3年物の牡蠣を見せてもらいました。びっくりするほど大きく、比較のボールペンが小さく見えるほど(!!)身も肉厚で、とってもぷりぷりしています。一般的には、牡蠣の旬は12月と言われていますが、卵を持つ直前の4~5月が最もおいしいのだそうです。実際、旨味も甘味も凝縮されていて、本当においしかったです。

 

出荷用の箱

出荷用の箱

 このような行程を経て箱詰めされた牡蠣は、広田湾漁業協同組合を通じて、豊洲市場をはじめとする全国の市場に出荷されていきます。ここ小友町の牡蠣は品質が日本一。築地市場で最高値で取引されており、豊洲市場になってからも日本一は継続しているそうです(!)ここ広田湾で育てられた3年物の牡蠣は、陸前高田市のブランド牡蠣として、今日も全国各地で提供されています。

 

 そんな“日本一の牡蠣”を提供する、陸前高田マルテン水産の “牡蠣ノ匠” 佐々木 眞 さんに、牡蠣の養殖についてお話を伺いました。


 

―マルテン水産の名前の由来について教えてください!

 家に太宰府天満宮から分けてもらった天神様があり、そこから船の名前を取って天神丸としています。その船の名前から、「天」と「丸」を取って、マルテンとなりました。

 マルテン水産は昭和35年から牡蠣養殖を始めました。チリ地震津波の直前です。その時と今回と、マルテン水産は、2回津波によって被災をしています。

マルテン水産

マルテン水産

 

―佐々木さんは、震災前から牡蠣の養殖を行っていたのですか?

 そうです。もともとマルテン水産の牡蠣養殖は家業でしたが、自分は長男でなかったこともあり、実は一度東京に就職しました。社会人として東京で働いていた時、自分が作ったものを自分で売っていないことに違和感を覚え、24歳のときにUターンで陸前高田市に戻ってきました。家業のマルテン水産とは別に広田湾漁業協同組合の組合員になり、牡蠣養殖を始めました。今はいい評判も悪い評判も100%自分の責任になりますが、その分モチベーションは上がりますね。ここの牡蠣は3年物なので、震災で全て流されてしまったあと3年間は無収入になってしまうため、震災を機に辞めてしまった漁師も多かったです。

 

-3年物の牡蠣を育てることについて。

 他地域の牡蠣は大抵1~2年物ですが、広田の牡蠣は3年物を作っています。日本で3年物を育てているのは、陸前高田市小友町に4人だけです。実際、2年物を育てた方が収入は安定するのですが、岩手県の牡蠣の生産量は全国5位で、生産量でいうと広島が1位、宮城が2位で名も通っています。そのため、数で競うのではなく品質で日本一を目指そうとしており、ブランド化のために3年物の牡蠣を作っています。

蒸牡蠣

蒸牡蠣

 

―今後の展望について教えてください。

 震災前ですが、県か市の企画で、気仙のものを売り出そうというものがありました。その際、牡蠣がいいだろうということで、気仙ブランドとして売り出したことがあったんですね。そのときは、直接消費者の声が聞こえてきて、それがすごく良かったと思っています。市場を通して販売していると、消費者の声が聞こえにくいというのはあります。実現は難しいかもしれませんが、市場を通したとしても消費者の声が聞こえるようなシステムづくりができればいいと思っています。

また、どこに卸しているか分からないので、遠方からお客さんが来た時、「ここに行けば広田の牡蠣が食べられる」と案内できないのは歯がゆいですね。日曜は市場が休みなので買えるところがない、ふらっと観光で来た人が買えるところがないことも課題です。2019年夏にオープン予定の「道の駅高田松原」には、広田湾漁業協同組合も出店予定なので、少しでも消費者が身近になれば嬉しいです。

 


陸前高田市広田湾の牡蠣が食べられる飲食店をご紹介!

【大船渡市】

①鮨処ささき (寿司)大船渡町字茶屋前3丁目2-2110

②おさかなファクトリー (食堂) 大船渡町字野々田10-3(大船渡市キャッセン大船渡内)

③割烹うら嶋 (割烹)大船渡町字野々田22-18

④海鮮料理平野屋 (割烹) 大船渡町字野々田28-13

【陸前高田市】

⑤俺っ家 (居酒屋) 高田町字大町54-1(陸前高田市アバッセたかた周辺)

⑥鶴亀鮨 (寿司)  高田町字大町50 (陸前高田市アバッセたかた周辺)