【第1回けせんおしごと通信】「医療法人勝久会」様

【けせんおしごと通信】

今、人口減少や少子高齢化の進展等により全国で働き手不足が叫ばれていますが、当気仙管内でも人手不足は深刻な状況にあります。そんな中、「UIターン求人」や「働き方改革」等を積極的にお取り組みされ、人材確保に努めていらっしゃる管内企業さん等にご協力をいただき「けせんおしごと通信」で定期的に情報を発信して参ります。

第1回目は、大船渡市の「医療法人勝久会」様にお邪魔してお話を伺いました。

「医療法人勝久会」様は、ここ4年間で18名もの新卒者を採用し、1名の離職者のみと高い定着率を誇る法人さんです。昨年度は「いわて働き方改革実践モデル企業」としての取組みをされると共に、「イクボス宣言」、「いわて女性活躍推進企業(ステップ2)認定」と働きやすい職場環境づくりや生産性向上にと積極的に取り組まれています。また、求人情報等も様々なチャネル(「いわてのシゴトバ」、厚生労働省のプロジェクトである地方就職に役立つ情報を提供する「LO活」ホームページ)を活用しUIターン希望等の方へも企業情報と併せ発信されています。

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初めにインタビューに応じていただいたのは、法人事務局総務部リクルート担当係長の磯谷真琴さんです。磯谷さんは、職員のモチベーションアップの取組みとして、当該法人のWeb上に新しい職員さんをお迎えしたときに紹介するページを作成。本人からのコメントに併せ、全職員向けに自身が心に残ったエピソード等を掲載し、数多くある施設で働く皆さんへ情報発信しています。職員の方々からも色々な反応があり意思疎通が図られている印象を持ちました。また、株式会社ワーク・ライフバランス「認定ワーク・ライフバランスコンサルタント」の資格を持ち活躍されています。

~貴会の事業内容を教えていただけますか~

勝久会は大船渡市・陸前高田市において、医療・介護事業所を26箇所運営している医療法人です。医療部門では、この地域の民間では初めて人工透析センターを開始して、「母子間生体腎移植手術」を成功させた地ノ森クリニックを運営し、陸前高田市の松原クリニックと合せて、現在、約180名の患者様が人工透析医療を受けており、働きながら透析を受けられるよう夜間透析も行い、また通院が困難な方々には、無料送迎も行っております。介護部門では、平成2年に地ノ森クリニックの法人化に伴い、少子高齢化、老々介護世帯の増加に鑑み、気仙管内で唯一お年寄りの家庭復帰を目指している介護老人保健施設気仙苑(定員152名)・松原苑(定員190名)を運営しています。介護度によって異なりますが在宅復帰型ということでリハビリ専門職を多く配置し、多職種協働による個別ケアを実施して、施設から家庭に戻っても普通の生活を営むことができるよう支援しております。その支援として、在宅では、訪問看護や訪問リハビリをご利用でき、切れ目ない医療・介護サービスを行っております。ご利用者様ができるだけ住み慣れた地域で暮せることを念頭に置きながら、併設のデイ・ケアセンター(通所リハ)においては、介護予防や認知症予防にも重点をおいて施設運営をしております。

 ~職員の方がお持ちの資格等は~

勝久会では、看護師、准看護師、介護福祉士、臨床工学技士や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門スタッフ、あとは相談業務でケアマネージャー、社会福祉士など医療職だけでなく介護職の資格を持っている職員が多数在籍しています。また、当法人には国家資格の介護福祉士になる為の支援制度があります。今、3年の現場経験に併せ介護福祉士の実務者研修という450時間の講義を受けないと受験できない事になっています。その実務者研修に係る費用をすべてバックアップする制度があります。また、奨学金制度もあり、資格取得を目指して、各学校機関にかかる入学金、授業料、実習費等を貸与する制度も行っております。資格取得後に当法人で貸与期間の2倍以上の期間働いていただければ、奨学金の返済が免除されるシステムになっております。

~全国的に人手不足ですが採用状況は~

今年度は大卒2名、専門卒5名、高卒1名の8名。あと既卒の方1名(介護福祉士資格あり)が4月1日に入職しました。8名の方が気仙管内出身で1名が県央です。今春、新卒で入職された方々は小学生・中学生という多感な時期に震災を経験し、卒業後一旦は気仙を離れるも大学、専門学校で得た資格や専門的な知識を地元に生かしたいという志を持った方が多い印象です。

~求人活動(大学卒・専門学校卒)は~

あらかじめ各学校の就職担当の方に沿岸出身者の有無を確認後、東北管内・県内の学校へあいさつ回りを実施し、就職状況や気仙出身の学生さんの情報収集をしながら施設見学等を先生にお願いしています。生徒さん個人というより学校への働きかけがメインで、他にも学校主催の就職説明会等も多く開催されていますので積極的に参加するようにしています。しかし募集人数を満たしていないのが現状です。他にも素晴らしい施設が気仙管内にはありますので、そこでの競合となっているのが現状です。看護師についてですが、高校卒業後看護師を目指して県外にでる生徒さんもかなりいらっしゃいます。看護師の方は、若いうちは技術を学びたいと思うのが普通で、都会の病院で最先端の医療や様々な症例数を経験して自信がつくと思いますので、そういう中で新卒看護師などの医療職を確保する事は非常にハードルが高いです。ただ気仙沼など近隣の准看護学校などで資格を取った方に勝久会で働いてもらう為に、奨学金制度を設けたりして人材を確保しているケースもあります。

~UIターンの場合、住まいの関係がネックになることも~

基本Uターンの場合は、地元の方なので問題はないのかなと思います。今回、県内陸部の方の内定がありました。土地勘もないのである程度こちらが不動産屋さんと掛け合って何か所か見繕い案内したりもしました。勝久会では住宅手当支給制度(上限30,000円)がありますので賃貸料の一部を補助できる環境にはあります。地元の職員でも親元を離れアパート等で一人暮らしを希望することもありますが、その場合でも手当の支給対象です。

 ~全国で高齢者の働き方も課題にありますが~

勝久会は、新規入職者の離職率は低いですが、ベテラン職員の離職が気になるところです。夜勤が出来ない、休みが取れない、親の介護等で辞めるなどのケースがあります。勝久会は原則60歳定年で、看護職だけは65歳です。今、60代と言えども皆さん本当に御若いので定年の年齢は考える時期にきているのかなと思います。実際60~70歳以上のパートの方々に支えられているなと感じています。当法人は気仙苑や松原苑に介護補助員を各フロアに2名配置しています。介護補助員がいることによって、介護福祉士が専門的な業務に専念できるので大変助かっています。また、この他にも患者・利用者様の送迎業務の運転手など、元気な高齢の方々に現場を支えていただいている現状があります。

~人材不足の中、在職者の負担軽減等に繋がる働き方改革の取組みについて~

新卒、入職1年未満の職員に関しては1対1でフォローアップ面接を1年に2~3回実施し、仕事上の悩み・不安を早期に把握しアドバイスするようにしています。その際は、新人さんだけではなく上司のヒアリングも行って客観的・対等にと工夫しています。この施策は平成25年頃から継続していて、現在目に見える形で効果が表れてきたので、昨年度からは育児休業から職場復帰した職員にも実施して勤務状況、悩み、子育てと仕事の両立等対話する機会を設けていました。勝久会では、正社員でなくても産休、育児休暇を取得できる仕組みになっているので、出産を機に辞めることがないよう取組みをしています。また、職場環境の改善では休暇取得や残業時間削減等でのマンパワーの不足分について、介護職と看護職の連携強化、自動ブレーキ付車いす・タブレットの導入やPHSの増設、さらには、介護ロボットとかも普及してきていますので、色々試しながら現場に合うものを探している状況です。働き方改革の取組みには、業務の振りかえりが一番大切なのかなと思います。一人ではとても難しいので皆さんに協力してもらいながら現場の生の声を少しでも改善できないものかと日々試行錯誤しながら取り組んでいます。ワーク・ライフバランス認定がきっかけで、自分も資格を取得しただけではなく、“現場にも何か還元できないかな”と思っていたタイミングで「いわて働き方改革モデル事業」の取組み機会をいただき良かったなと感じています。

 ~最後に~

とにかく長く勤めていただきたい。せっかく縁があって入職していただく訳なので、迎え入れたからには“勝久会に入って良かったな”と思ってもらえる職員が一人でも多くなることが自分としても仕事上でのモチベーションにもなっています。入職して違ったと思われることの無い様に、福利厚生等環境づくりをもっと改善していければと思っています。

(昨年の夏に開催した職員のお子様を対象とした「子ども参観日」の模様)

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次のインタビューに答えていただいたのは、神奈川県横浜市からIターンし医療法人勝久会で勤務されている介護福祉士の市村修さんです。

~Iターンを決心された理由は~

2011年3月発生の東日本大震災の際、神奈川県の事業(神奈川県からのボランティアの宿泊施設の常駐スタッフ)で岩手県に来たことがきっかけです。震災の時、以前の仕事を退職していて時間があったので“何かしたいな”と思いすぐ行動を起こしました。その際、都会にはない岩手の魅力に惹かれ、ここで暮らしたいという気持ちが芽生えました。そのことをボランティア活動する中で知り合った方に相談をすると、陸前高田の空き家を紹介され現在に至っています。岩手の魅力(食べ物、自然、伝統芸能、人柄等)を多くの人に感じてもらい、私のように移住する方が増えてくれたらと思います。

~医療法人勝久会に入られたきっかけは~

復興関係の仕事に従事しましたが年度契約が主でした。その時43歳で、ずっと気仙に居たかったので正社員として就職したいと。また、ボランティア活動をする中で、色々な方との出合い・ご縁で勝久会を紹介されました。平成26年4月に臨時職員として採用になり、翌年の6月に正職員となり現在介護の仕事に従事しています。先日介護福祉士の試験を受験し、お陰様で国家資格を手に致しました。働くまでは介護の仕事は、お世話をするというイメージでした。しかし、実際に働いてみるとそのイメージとは全く違い、病気や怪我などで、今までと同じような生活が難しくなってしまった方と一緒に未来を見ていくという仕事でした。仕事中はたくさんの思いやりの気持ちに包まれながらでき、楽しく仕事をさせていただいています。仕事ですから、当然辛く感じる事もありますが、横浜に居た頃に、民間企業で働いていた時と比べて精神的にも感情的にも充実しています。この世界に入って良かったと思っています。

 ~移動手段・住まいなど生活について~

気仙で生活する上で、最低限インターネット環境と車は必要だと感じていますが、その他で不便を感じることはほとんどありません。気仙には都会に無いものが沢山あり、むしろ都会での便利さというのは、たとえ身近になくても特に困らないという事に気付かされました。今後、三陸自動車道が全線開通する事で、盛岡や仙台までの移動も、今以上に短時間で出来ます。また、三陸鉄道リアス線開通に立ち会えたのはうれしい事の一つで、今度ぜひ乗車し岩手の沿岸を車窓から眺めてみたいと思っています。東北といっても気仙は気候も温暖で夏は涼しく、冬は雪も少ないので生活していくにはすごく快適と思います。住まいに関しては賃貸の家賃が高いと感じます。現在、紹介していただいた一軒家に住んでいますが、今後家族も増える予定ですので別の物件を探さなければと思っています。

 ~余暇の過ごし方等~

もちろん直ぐ地域に打ち解けた訳ではなく、色々な繋がりで町内会を紹介いただき次第に受け入れてもらいました。現在はその集落にある剣舞など念願の民俗芸能を教えていただいています。また、一番はまっているのが海釣りです。一年を通して多種の魚を釣る事ができます。三陸沖が世界三大漁場の一つに数えられているだけあり、その恩恵も受けながら楽しく生活させてもらっています。