第19回移住者インタビュー『住田町教育委員会 教育コーディネーター 小宅 優美(おやけ ゆみ)さん』

小宅さんプロフィール写真

小宅 優美(おやけ ゆみ)さん
福島県いわき市出身
住田町教育委員会 教育コーディネーター

御出身は。
福島県いわき市です。

住田町に来られたきっかけというのは。
初めて住田町に来たのは、2016年の冬です。当時は、茨城にある筑波大学の大学院に所属しており、論文の調査のために住田町に来ました。

住田町に移住をされたのはいつ頃でしょうか。
2018年4月です。

移住をされたきっかけというのは。
私は、全校生徒45名ほどの小さな中学校のある中山間地域で育ったこともあり、中山間地域の子供を取り巻く教育環境に課題意識を持っていました。大学院では、中山間地域の若者による地域づくりと教育について研究をしていました。
住田町に来たのは、大学院での研究をどうやって現場に反映すれば良いのか、悩みを抱えていた時期で、このまま大学院で勉強を続け、研究者として進んでいくのか、それとも現場で働くのか迷っていた時期でした。その時に丁度タイミングが良く、住田町から教育コーディネーターが出来る人を探しているという話を聞き、論文の調査を通して住田町が好きになっていたことと、住田町には意外と若い人が居て、若い人の温かく、良いネットワークが在ること。また、住田町は、複数の街が合併した地域よりも、中山間地域の教育課題にダイレクトに関わることができます。こういう場所であれば、自分の研究成果が活かせ、また、自分のやりたいことが出来ると思い、住田町で働いてみようと思いました。小さいからこそできる仕事がたくさんあると感じています。

現在、お住まいはどうされているのでしょうか。
現在は他の移住者の方から紹介していただいたシェアハウスに住んでいます。最初は、町営住宅も満室で、住む所が無くて困りました(笑)。幸いにも、奈良さん(第18回移住者インタビュー)と知り合いで、奈良さんが代表をしている法人の事務所を間借りしてもよいとのことでしたので、しばらくそちらへ住まわせていただいていました。

シェアハウスでの生活はどうでしょうか。
今は同年代の女子と住んでおり、楽しく暮らしています。ただ、人によってシェアハウスは嫌と言う人もいると思いますので、移住者の受け入れに当たっては、住まいについても複数の選択肢があった方がいいかなとは思います。

地域での移動について。
私は車を持っていて、普段の異動は車です。やはり、この地域は車が無いと住めないですね。今住んでいる場所が、薬局やスーパー、コンビニ、ホームセンターから徒歩圏内なので、基本的な衣食住を満たすのであれば困ることはありませんが、やはり、息抜きがしたいと思った時に、車が無いと困ると思います。

高速のインターや新幹線の駅が遠いことについては。
車の運転は好きなので、特に苦にはなっていません。

普段の生活について。
今住んでいる家に畑があり、仕事が午後からですので、午前中は畑をしています。御近所の方から、苗のお裾分けをいただいたり。畑の半分以上がいただいた苗です(笑)。畑は今まで誰も使っていなかったので、自分で耕すところから始めました。

農作物の栽培経験等はお持ちだったのでしょうか。
大学では園芸サークルに入っていました。また、実家も農家ですので、分からなくなった時は、実家に電話等をして聞きながら育てています。時々、近所の方も見に来られ、手伝っていただいたりしています。

現在は何を育てられているのでしょうか。
かぼちゃ、いんげん、なす、トマト、あとはハーブを数種類ですね。

お仕事についてお伺いしてもよろしいでしょうか。現在、住田町教育委員会の教育コーディネーターをされているということですが。
住田町も人口減少が進んでいて、町内唯一の高校(岩手県立住田高校)入学者数が減少しているという課題があります。その対策として、高校のソフト面支援の充実をということで、住田町教育委員会から私が教育コーディネーターとして高校に派遣されています。

具体的なお仕事内容とは。
住田高校の生徒は、住田町内や、近隣の大船渡市、陸前高田市、釜石市や遠野市から、路線バス、または親御さんの送迎等で通学しています。路線バスは本数が少なく、限られていて、放課後や部活動が終わった後にバスの待ち時間があります。そのバスを待つ時間を少しでも有効活用しようということで、バスを待つ間に勉強をしたり、進路や普段の生活の中で抱えている悩み等を相談出来る場所を昨年(2018年)の秋から、住田高校の研修会館内に開設しました。私はその場所の運営を担当しています。

毎日何名ぐらいの生徒がその場所を利用しているのでしょうか。
平均して、10~15人ぐらいです。

悩み等の相談に来る生徒も多いのでしょうか。
生徒は相談に来るというよりも、その場所へ来て会話をしている中で、「実は今日、進路相談会があって、先生にこんなことを言われて・・・」や、「昨日、親と喧嘩して・・・」の様な話が出てきます。私は話を聞いて、その後生徒と一緒に対応策を考えていくようなサポートをしています。家族でも学校の先生でもない私と話すことで、彼らの視野を広げられるようなお手伝いが出来ればと思っています。

その様な場所を設置することになった経緯というのは。
最初は、高校のソフト面支援の充実といっても、何をすればよいのか分かりませんでした。そこで、まず、地域の事情を知るというところから始めました。高校の先生方や生徒、地域の方々にヒアリングをさせていただき、高校生のバスの待ち場所が無いことや、高校生にロールモデルが少ないといった課題を見つけました。それらの課題を解決するため、校内にバスを待つことが出来る場所を作り、ロールモデルの少なさの解決策として、高校生が地域の大人と話すことが出来る機会を作っています。

 

生徒と社会人との座談会社会人との座談会の様子

 

地域の大人と話すというのは。
私の知り合いや、役場の若手職員等に、仕事が終わった後等、その場所へ来てもらい、高校生と話しをしてもらっています。この地域の子ども達は仕事というと親の職業や、学校の先生が教えてくれる職業しか知りません。そこで、家族でも学校の先生でもない大人と話す機会を増やすことで、彼らが将来の選択肢を広げるヒントを得られる場に出来ればと考えています。

大事なことですね。
そうですね。他にも子ども達の視野を広げるということで、住田町の教育委員会が作成している住田高校のパンフレットや、リーフレットの制作を生徒たちに手伝ってもらいました。高校生がプロのデザイナーと意見を出し合ったり、話し合いをしながら、写真の撮影をしたり、機器に触れさせてもらったりと、様々な人と出会い、また、体験をしながら、彼らの将来の選択肢を広げていってもらえればと思います。

これまでの成果等については。
その場所の運営を始めたのが昨年(2018年)の秋からで、まだ、目に見える成果というのはありませんが、その場所を通して、私が学校の先生方や生徒に認識され始めたというのが、まず一つの成果であるかなと思っています。他にも、生徒が相談出来る人が増えたと言ってくれていることが、良かったことかなと思っています。

収入等の面についてはどうでしょうか。
収入については、給与の額というよりは、嘱託職員という雇用形態が不安ですね。毎年の更新で、今後のキャリア形成がどうなってしまうのかなという不安があります。雇用形態については、役場と一緒に私も今後発展的に考えていければと考えています。
反対に、嘱託職員で良かったなと思うことは、副業が出来ることです。今でも時々大学院時代のつてを通じて、教育ジャーナル等に記事を投稿しています。研究も続けられていて、それについては良かったかなと思っています。

住田町に移住をされてみて、こういうものがあったら良かったな等、感じられたことがあれば。
ゴミの出し方等暮らしの情報がまとまった案内等が、転入届等を役所に提出する時にあるといいのかなと思います。大学の時に住んでいた茨城県つくば市では、外国人を含む入転居者が多いので、市として多様な転入者を受け入れるシステムが出来ています。そういうものがあると、転入者ももっと来やすいのかなと思います。

 

生徒たちと見学に行った東京大学の食堂での食事風景

 

今後されたいことなど。
この教育コーディネーターという仕事を、今後も継続するような持続可能性の高い仕事にしていきたいと考えています。教育というのは、目に見える結果がなかなかすぐには出ない分野だと思いますが、それでも教育コーディネーターを続けて欲しいと、学校や地域から思ってもらえるような仕事をしていきたいなと考えています。住田高校では、住田町出身でない生徒や先生が通学・通勤しています。ですから、今後は様々な関係者をつないでいきながら、子どもたちの学びの機会を住田町内に増やしていきたいと思っています。
将来的には、住田町というフィールドで学ぶ子ども達を、さまざまな大人が支えていけるシステムを作っていきたいです。そういったシステムが、住田町内だけではなく、気仙地域、岩手県内、東北地方全体でも出来る様になり、そしていつかは自分の地元でも出来る様になればと考えています。