【けせんの話題】東日本大震災津波伝承館-いわてTSUNAMIメモリアル-と道の駅高田松原

伝承館 外

 

気仙地域をよく知らない方、気仙地域に興味を持っているけど訪れる機会がない方、そんな方々に気仙地域で話題となっているものを紹介いたします!

今回は震災の伝承施設として国内外で注目を集めている、東日本大震災津波伝承館-いわてTSUNAMIメモリアル-と道の駅高田松原です!

令和元年9月22日(日)、整備の進む高田松原津波復興祈念公園内に東日本大震災津波伝承館(愛称:「いわてTSUNAMIメモリアル」)と道の駅高田松原がオープンしました。
オープン初日の午前中には高円宮妃殿下が視察に訪れ、伝承館内を御覧になられ、その後、オープン記念式典に御出席いただきました。午後の一般向けの開館では、開館時間前から100名以上の方の行列ができ、3時間半という短い時間ながら約2,000名の方が伝承館を訪れました。道の駅高田松原は9月15日から地元住民向けにプレオープンしており、初日から多くの地元住民たちでにぎわっていました。
伝承館はオープンから6日目の9月27日(金)には来館者が1万人に達し、取材に伺った前日の10月31日(木)には来館者が5万人に達しており、現在は7万人を超えています。また、道の駅高田松原は10月25日に大台の10万人の来店者を迎え、双方とも注目の高さが伺えます。

伝承館 外02

 

東日本大震災津波伝承館-いわてTSUNAMIメモリアル-

平成23年3月11日に起きた東日本大震災で岩手県は甚大な被害を受け、特にこの気仙地域を含む沿岸地域では地震の発生に伴う津波で多くの命が失われました。東日本大震災津波伝承館はこの東日本大震災津波で起きたありのままの事実と教訓を後世に伝承していくことを目的として整備されました。
伝承館はいくつかのエリアに分かれており、それぞれのテーマに沿った展示がされています。エントランス部分は道の駅としても機能しており、24時間開放されています。道路状況やBRTの接近表示板が見られるなど道の駅としての機能がある他に青森県から宮城県までの沿岸地域の大きな地図が設置され、各地の震災伝承施設が記されており、タッチパネルのモニターで検索もできるようです。

伝承館 ゾーン1

 

ゾーン1「歴史をひもとく」

三陸地域は古くから幾度も震災や津波の被害を受けていました。明治の「明治三陸地震津波」、昭和の昭和三陸地震津波、昭和35年にはチリで起きた地震の影響による津波の被害を受けた「チリ地震津波」。最初のゾーン「歴史をひもとく」ではそういった三陸地域を中心とした過去の地震・津波の被害とその度に人々が行ってきた対策の展示がされています。津波の痕跡がはっきりと残る地層も展示されており、何度も津波が襲ってきた事実が分かります。また、中心にある大きなスクリーンでは映像でデータ化された地震の規模や津波の強さ等が公開されており、その強烈さを分かり易く表しています。他にも世界に目をむけたリアルタイムで更新される過去1ヶ月間の地震の発生状況も映像で見ることが出来ます。

この地域で伝わる教え「津波てんでんこ」についてもこのゾーンで解説されていました。沿岸地域ならではの教えは親から子へそして孫へ伝えられ続けています。

伝承館 スクリーン
【スクリーンの解説は英語や中国語などの字幕が選択できる】

 

ゾーン2「事実を知る」

伝承館の中でひときわ目を引きくのが、「事実を知る」ゾーンにある、被災し流されてしまった物の展示です。

気仙大橋は伝承館近くの気仙川の河口付近に架かる橋でしたが、津波により流失し、約300m流されてしまいました。伝承館内で展示されているのはその気仙大橋のほんの一部。ですが、その大きさは他の展示物と比べてもひときわ大きく、橋全体がかなりの大きさだったことが想像できます。しかし、そんな大きな橋であっても津波に飲まれて流失してしまったという事実が、東日本大震災津波の恐ろしさを物語っていました。また、その隣には田野畑村で被災した消防団が使用していた消防車両が展示されています。窓は割れ、ドアや屋根を含む外装は折れ曲がり、車両の中は無惨な状態となっているようでした。離れた地域でも同様に強烈な津波が襲ってきたことや地元の消防団が必死に対処しようとしていたことが分かります。この車両に乗っていた消防団員の方は無事助かったようですが、被災し、亡くなられた方の中には消防団員として避難誘導等をされていた方も多かったとのことです。

被災した物は大きなものだけでなく、小さい物も展示されています。バスの停留所の看板や、学校で使われていたと思われるもの等がありました。身近でよく目にする物のこのような姿を見ると大災害はいつ自分も巻き込まれてしまうか分からないものであることが実感できます。ただ、こういったものは瓦礫の撤去などでそのほとんどが早い段階で廃棄されてしまっているとのお話しでした。

伝承館 展示物01

【グネグネと曲がってしまっている姿から津波の強烈さが伝わる】

伝承館 車両【被災し痛々しい姿になってしまった消防車両】

伝承館 展示物02【学校で使われていたと思われる被災した物の数々】

東日本大震災津波の資料は展示物だけではありません。被災された方の証言集も外国語訳版を含めて設置されており、当時何を思ったか、どう行動したのかを読むことが出来ます。また、実際の津波の映像も公開されており、津波が堤防を越える瞬間や、車で逃げたすぐ後に津波が押し寄せる場面等の記録が見られます。衝撃的な映像ではありますが、当時の津波の様子がわかる貴重な記録です。

伝承館の端からは震災遺構であるタピック45が見えます。その壁面には津波の到達地点の跡が残っています。現在は外から見ることしか出来ませんが令和3年に内部見学の出来る震災遺構として公開されることとなっており、改修工事の最中です。

タピック【伝承館から見たタピック45】

 

ゾーン3「教訓を学ぶ」

3つ目のゾーン「教訓を学ぶ」は東日本大震災津波時の人々の行動から、災害が起きた時、私たちが命を守るためにどうするべきなのかを学ぶゾーンです。一般の方や当時地元で交通規制を行った警察官、現場の指揮を行った国土交通省の職員等の当時の状況や行動が公開されています。当時の国土交通省東北地方整備局災害対策室が再現されており、設置されている椅子や机などは震災後移転された災害対策室からいただいた当時のものとなっています。モニターでは津波で孤立してしまった地域に救命や救援のルートを作るために行われた道路啓開「くしの歯作戦」について、実際に関わった方々のインタビューを交えながら解説されています。

時系列順に当時の人々の様子を並べ、そこから見えてくる行動の問題点と課題の展示や、震災後に行われた避難の実態調査の結果のまとめ、震災以前からより早く避難できる経路を整えていた学校の事例もまとめられており、今後の意識の持ち方に参考になります。また、当時亡くなられてしまった方が取った行動についてもまとめられており、見ると辛く感じてしまう内容ではありますが、後世に残すべき大切な教訓であると感じる内容でした。

伝承館 再現

【伝承館内に再現されている国土交通省東北地方整備局災害対策室】

伝承館 掲示

【とある消防団員の視点から見た時系列順の記録】

伝承館 実態調査【実態調査ですぐに逃げなかった人は回答者の4割もいたことが判明している】

【展示の最後に書かれている東日本大震災津波伝承館のテーマ】

ゾーン4「復興を共に進める」

伝承館の反対側の入り口から最後のゾーン「復興を共に進める」に入れます。東日本大震災津波では国内外の多くの方から被災した地域にご支援をいただきました。その支援に対する感謝の気持ちを伝え、震災の悲しみを乗り越えて復興していく被災地の姿を公開しています。こちらでは企画展示も行われており、取材日には「3.11伝承ロードへの誘い」パネル展が行われていました。また、大船渡津波伝承館長の講座を開くなど、今後、講話やワークショップ等が開催されるようです。

伝承館の特徴として、施設内に案内や展示の解説をしてくれる「解説員」がいらっしゃいます。解説員の方は東日本大震災津波について春頃から被災地を回り研鑽を重ねており、展示を見るだけでは伝えきれない震災の事実などを詳しく解説してくれます。スタッフ用のベストを着用していて、一目でわかりますので、訪れた際にはぜひ彼らの解説を聴いて、より理解を深めてください。

 

道の駅高田松原

伝承館に併設された道の駅高田松原では陸前高田を中心に三陸の魅力があふれる道の駅となっています。お土産コーナーでは高田松原津波復興祈念公園内にある奇跡の一本松にちなんだものや被災したものの再建を果たした市民から親しまれるお菓子屋のお菓子等はもちろん、収穫されたばかりのりんごやお米も販売されています。沿岸の街ならではの海産物の販売もされており、新鮮な牡蠣やワカメが購入できます。また、飲食店も充実していて、新鮮な海の幸を使用した海鮮丼を提供する「まつばら食堂」、陸前高田のオリジナルブランド米たかたのゆめを使用した定食が食べられる「たかたのごはん」。震災の復興支援からできたつながりで鳥取県で人気の「すなば珈琲」も東日本初出店されており、美味しいコーヒーやスイーツを楽しめます。こちらでは陸前高田の地サイダー神田葡萄園さんのマスカットサイダーのソフトクリームも食べられます!

 

伝承館 外02

伝承館と道の駅の間を進むと海の方の防潮堤へ向かう道が見えます。高田松原津波復興祈念公園はまだ整備中ですので、入れるエリアは限られていますが、ここから、奇跡の一本松等の震災遺構を見に行くことが出来ます。途中には献花台が設けられており、訪れた方々が献花した花が置かれていました。その先の防潮堤の上は「海を望む場」となっており、陸前高田の美しい海を眺めることが出来ます。

伝承館 海【海を望む場から見える海】

最後に

震災から8年が経過し、津波に襲われた気仙地域の街々も着々と新しく生まれ変わっていき、津波が残した爪痕も段々少なくなっていっています。東日本大震災津波伝承館はそういった震災の事実を後世へと伝えていく施設であるとともに、被災地が震災の悲劇を乗り越えて復興している姿を国内外へと発信する大切な施設であります。また、ただ学ぶだけではなく、伝承館で震災について学んだ後は、道の駅高田松原で震災を乗り越えていく被災地の特産品を味わったり、楽しんだりすることで、より、震災から復興までを実感できると思います。

伝承館等があるのは岩手県沿岸の最南端である陸前高田市ですので、南からお越しになる方にはゲートウェイの役割を持った施設にもなっています。ぜひ、気仙地域に訪れる最初の一歩として、東日本大震災津波伝承館と道の駅高田松原にお越しください。

 

 

東日本大震災津波伝承館-いわてTSUNAMIメモリアル-

所在地 岩手県陸前高田市気仙町字土手影180(高田松原津波復興祈念公園内)

開館時間 9:00~17:00(最終入館16:30) 入館料 無料

休館日 年末年始(12/29から1/3まで)及び臨時休館日

電話 0192-47-4455 FAX 0192-47-4466

HP 東日本大震災津波伝承館‐いわてTSUNAMIメモリアル-ホームページ

 

道の駅高田松原

所在地 岩手県陸前高田市気仙町字土手影180(高田松原津波復興祈念公園内)

営業時間 9:00~18:00(12月~2月/9:00~17:00)

休館日 無休

電話番号 0192-22-8411