第27回移住者インタビュー『自分たちで企画したイベントに人を呼んで大船渡とのつながりを持つ人を増やしたい』アローリンクス株式会社 川面 将輝 さん

川面 将輝(かわづら まさき)さん

広島県出身

アローリンクス株式会社

(インタビュー実施日:令和3年11月30日)

ーご出身はどちらでしょうか。

生まれは広島県です。でも、基本的には東京育ちです。2020年の3月頭、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出る数日前くらいのタイミングで大船渡に移住しました。

ー移住をしようと思ったきっかけを教えてください。

私が学生の頃、東日本大震災の支援や応援をする学生団体に所属しておりまして、その団体の活動拠点がたまたま大船渡であったことから、団体の活動や個人的な用事で頻繁に大船渡に来ていました。活動のために2~3週間くらい大船渡に滞在することもありました。そうやって団体での活動を通じて、地元の人と親密な関係になり、「大船渡過ごしやすいな」っていう思いが芽生え、移住先として選びました。

あと、個人的に、東京という街の雰囲気が苦手で、とりあえず東京から出てどこか別のところに行きたいという思いがありました。その中で、何度も大船渡に足を運んでいくうちに、大船渡の雰囲気が自分に合っていて暮らしやすいなっていうことに気付かされました。

ー所属されていた学生団体ではどのようなことをされていたのですか。

東京で、高校生や大学生を対象として、防災系のワークショップを開催したり、気仙地方や三陸地方を盛り上げるために食などの魅力を紹介するイベントなどを開催したりしました。

この団体は、私の二つ上の先輩方が作った団体になります。最初は、大学の新入生歓迎イベントでたまたま団体のチラシをもらって、それから説明会に参加して、何となく入ってみたという感じです。私は、東日本大震災の直接的な被害は受けませんでしたが、仲が良かった人や友達の親戚の人が亡くなってしまったというのはあって、それで震災に対してぼんやりとした興味はあったので、「ちょっとサークル入ってみようかな」という程度の気持ちでした。

ー実際に団体に入って活動してみてどうでしたか。

1年目は、先輩が「イベントをやる」と言ったら「わかりました、手伝います」とか、「一緒に大船渡行こうよ」と言ったら「行きます行きます」みたいな感じで、とにかく先輩に付いて回るのが多かったです。

ただ、2年目からは、先輩方が4年生になり就活や卒論の関係で団体の活動に参加できなくなり、いきなり私たちの代がメインで動かなければならない代になりました。というのもあって、今まで通り人に付いていくだけではいけないと思い、その年から、団体のメンバーとだけではなく、自分だけでも行けるタイミングを見計らってどんどん行こうという感じで大船渡に通いました。そうやって何度も大船渡に足を運んで、ふと気付いたときには、だいぶ大船渡にのめり込んでいて、「大船渡に引っ越したい」という思いになっていきました。

ー移住をされるまでにどのような準備をされてきましたか。

「移住」って言葉にすると、事前にちゃんと準備して移住先での生活もしっかり考えて、みたいな風に捉えられそうなんですけど、私の場合は、「東京での生活はそろそろいいからとりあえず大船渡に引っ越そう」という、すごい軽いノリで考えていました。ですので、移住をすると決めたときは、移住先での仕事も引っ越し先も何も決めていませんでした。

移住をすることに対してどうしてそんなに余裕を持っていたかというと、学生団体での活動や個人的な通いを通して、大船渡のいろいろな人とつながりを作ることができて、いざとなったら頼りにできる人が多くいたから、というのが大きいですね。今回の移住も、とりあえず大船渡に引っ越すということだけは決めていて、大船渡の人に「来年から引っ越すつもりなのでよろしくお願いします」と言ったら、生活環境を整えていただきました。

〈田んぼで農作業に勤しむ川面さん〉

ー現在の住居について教えてください。

赤崎町にアパートを借りて生活しています。弊社の事務所の所在地は知っていたので、そこからなるべく近いところ、徒歩や自転車でも通えるようないいところを探して、いろいろと話を聞いてみた結果、そこにしました。移住した当初は車を所持していなかったので、通勤に車が必要になる距離だとちょっと厳しいなって思ったので、事務所の近場で探しました。

ー現在は車をお持ちですか。

はい。移住してから半年くらい経ってから手に入れました。大船渡で半年間、車のない生活を過ごしてみて、「本当に車は必要だな」と、車の重要性を改めて認識しました。学生時代は、大船渡に来るときはだいたいレンタカーで来ていました。他のところから来る学生たちとも「やっぱり車があると便利だよね」みたいな感じで話して、軽く受け止めてはいたんですけど、いざ手元に車がない状態で移住したとき、車の必要性を改めて強く感じましたね。

ー大船渡市で生活してみて何か感じたことはありますか。

学生の頃は、学生団体の一員として、大船渡で開催されるイベントの手伝いに参加させていただいてはいたのですが、移住して弊社に入社してからは、イベントの企画の段階から自分も携われるようになって、それが嬉しいなと思っています。学生の頃から自分たちでイベントを企画して実施するというのは好きだったので、大船渡に移住してからは、自分の好きなこと、やりたかったことができるようになっているなと感じています。

でも、私が大船渡に引っ越してきた時期が、ちょうど新型コロナウイルスが全国的に広まりだしたような時期でした。岩手ではまだ感染例は出ていなかったけど、東京や大阪、札幌などで広まり始めたようなタイミングだったので、大船渡でイベントを行うにしても他の地域から人を呼べないというのは残念でしたし、それは今でも抱えているもやもやした部分でもあります。「人を呼ぶイベントをしたい」と思って大船渡に乗り込んで来たというのもあるので。

生活面で言うと、先ほどの「車が必要だな」っていうのはその通りですし、それから、大船渡ってやはり東京と比べるとお店がなかったり、夜まで営業しているお店が少なかったりするというのはあると思いますが、結果的に自分の引っ越したところの近くにスーパーもあるし、思っていたより生活には困らないなと思いました。

あとは、冬がつらかったです。移住して一年目の冬、ちょうど去年の12月頃の話ですけど、まあ寒いのでエアコンをつけていたんです。それでも寒いのでずっとエアコンをつけたままにしていました。それで一月経ったら電気代がとんでもないことになっていて驚きましたね。一人暮らしなのに一家族分くらいの電気代になっていて、ちょっと恐ろしかったです。知り合いから灯油ストーブをいただいてはいたんですけど、「でもエアコンでいいかな」と軽い気持ちで使っていたら、かなり痛い目を見ました。それ以降、ちゃんと灯油ストーブを使うようにしています。

ー大船渡市で生活してきた中で印象深かった経験や思い出はありますか。

私がまだ学生の頃の話になります。大船渡で開催されるあるイベントの手伝いとして、所属していた学生団体から私が参加することになり、3週間ほど大船渡に滞在しました。それで、そのイベントでは、弊社のインターンに参加していた学生たちも手伝いをしていて、その学生たちと一緒に作業をしました。当時、私はまだ大学1年で、あまりインターンのことをよく知らなかったんですけど、同じ大学生が仕事場で頑張って働いている様子を目の当たりにして、「インターン生ってすごいな」と思いました。

それから時が経ち、大船渡に移住し弊社に入社して、今度は私がインターン生を受け入れる側になりました。1年に2回インターンを受け入れているのですが、インターンに参加する他の地域の学生たちって、大船渡に対して積極的に興味や関心を向けてくれて、そういう子たちと交流できるというのがとても嬉しく、印象深いと思うことですね。

ー今年もインターンは行われたのですか。

はい。このご時世なので、オンラインでのインターンという形になり、実際に大船渡に来てもらうということはできなかったんですけど。それでも、学生たちは頑張ってやってくれました。学生団体に所属していたころから、後輩がいろいろと頑張っている姿を見るのは好きだったので、私自身も楽しくやれました。

オンラインインターンでは、弊社で運営している「大船渡ポータル」という観光サイトの記事の作成や、町を盛り上げるようなイベントの企画の作成などをやってもらいました。本当なら、やっぱり現地に来てもらって社員たちと一緒に動いてみるのが一番ですが、オンラインでもいろいろとできるんだなと思いました。それに、インターンに参加してくれた学生たちって、まだ大船渡に足を運んだことがない子が多いんですけど、それでも大船渡の力になるように、地元の目線に立って積極的に物事を考えることができるポテンシャルを持った子たちなんだなと強く感じました。そんな子たちを、画面越しではありますが間近で見ることができてとても嬉しかったです。

ーインターンの期間、受け入れ人数はどれくらいですか。

期間は結構長いですね。だいたい1ヶ月半です。人数は、一回の期間で2~3人です。基本的に私がインターン生の面倒を見ていて、一人で対応できる人数の限界がそのくらいなので。ただ、弊社の社長がインターンに積極的な方なので、社長自身がインターンのプログラムに加わることもありますし、例えば、大船渡ポータルのことについてやるときは、ポータルサイトの担当の社員にも加わってもらうということもあります。ですが、インターンのメインの窓口になるのが私ですので、基本は私一人、という感じです。

ーアローリンクス株式会社での活動について教えてください。

大学時代にプログラミングの学科を専攻していたので、それを活かしてホームページやアプリケーション、ポスター、チラシのデザインなどをしています。いわゆるプログラマーとかシステムエンジニアとかデザイナーとか、そういう風に肩書きがちゃんと決まっているわけではなく、結構いろいろなことをさせてもらっています。

それから、言葉が適切かどうかわかりませんが、私は外から来た人間なので、いわゆる地元のしがらみのようなものからはあまり関係のない立場なんですよね。ですので、地元の方だと諸々の事情があって切り出せないような話でも、自分は積極的にいって提案をしています。例えば、あるイベントの実行委員会が立ち上がったとき、「アローリンクスとしても参加させてください」とお願いもできるので、他の会社と何か共同でやるとなったとき、アローリンクス側の担当者として参加させていただくことが多いですね。

もともと弊社で行ってきた仕事は、私が入社する前からいた社員さんたちにやっていただいて、私は、会社として新たな事業をやりたい、新たな領域に手を出したい、というときにメインで動く担当になることが多いです。特にここ1年間は、事業を企画して、新しいものを作り上げて、それを広めるために、出来上がったものを持って市内のお店を回って紹介・提案してきました。あまり詳しくは話せませんが、企画したものが形となって、いくつか市内で使われているものもあります。自分たちがイメージしたものが目に見える形となって使っていただいているのを見ると、とてもやりがいを感じます。

それに、これって自分一人だけの力ではできないことだとも思います。私個人としてではなく、アローリンクスの一員として事業に参加させていただくことで、いろいろな人とつながることができるので、そこも嬉しいですね。

ー社員は全部で何人くらいいるのですか。

全体の社員は13人です。ただ、1人は仙台、1人は盛岡、3~4人は釜石、残りは大船渡、みたいな感じで活動地は結構点々としています。ですので、今はもうみんな家でのテレワークになっています。最近はコロナの影響でテレワークが推奨されていますけど、弊社ではコロナ関係なく、前々からテレワークを実施していました。

川面さんの思う、大船渡市のおすすめスポットを教えてください。

碁石海岸に「岬」という御食事処があるんですけど、あそこを下におりたところにある船着場が、個人的には一番好きですね。学生の頃からそこが好きです。

あとは、最近で言えば、知り合いの方の手伝いのために吉浜で田んぼを借りているんですけど、そこから見る吉浜湾の景色も好きですね。結構見晴らしが良くて、田んぼでの作業をしながら風景を見るのがいいですね。大船渡に引っ越してきてからいいなと思うようになった場所です。

〈川面さんが学生時代から気に入っている、碁石海岸の船着場〉

ー大船渡市地域おこし協力隊の根本大介さん(第26回移住者インタビュー)から今回のインタビューのお話が来たと思いますが、根本さんとはどういった経緯で知り合われたのですか。

一番初めは、ちょうど今いる大船渡テレワークセンター内でお会いしました。弊社の事務所がこのテレワークセンター内にあるんですけど、根本さんが地域おこし協力隊として現在活動していらっしゃる地域活性化総合研究所もこのテレワークセンター内に拠点を構えています。テレワークセンター内に事務所を置く会社同士で会議をすることがあるんですけど、その場で根本さんと初めてお会いしました。それ以降も結構顔を合わせる機会が多かったので、その分つながりも深まりました。あとは、イベントの手伝いなどに呼ばれて行くと、根本さんもそのイベントに参加しているということもありました。

ー今後活動していく上での目標を教えてください。

今はコロナの影響でなかなかできないですが、やはり自分たちで企画したイベントに他の地域から人をどんどん呼ぶっていうのを実現させて、人の流れを作りたいです。私が大船渡に移住してからずっとやりたいと思っていたことなので、どうにかして実現させたいですね。別に私のように移住しなくてもいいんですけど、少しでも大船渡に興味を持ってもらい、実際に足を運んでもらったり、大船渡や三陸に関する情報をキャッチしてくれたりする人が増えたらいいなと思っているので。それを何かしらの形で、実績として残したいという思いはあります。それこそ、弊社で取り扱っているようなIT関係であれば、遠く離れた人でも大船渡とつながれるような仕組みは作りやすいとは思っています。まだ具体的なビジョンがあるわけではないんですけど、要は、大船渡や三陸地方とずっとつながりを持ってくれるような人を増やしたい、というのが私の目標です。

ー大船渡市に移住しようと考えている人に対してメッセージをお願いします。

私の実体験でもあるんですけど、「移住したい!」って思ったら、もうその気持ちのまま移住すればいいと思います。結構何とかなります。もちろん、移住先の情報を事前にきちんと調べて、「移住先でちゃんと生活していけるか」って考えるのも大事だとは思うんですけど、どこの地方においても、調べるだけじゃその地域の情報や魅力は100%引き出されるわけではないので、やっぱり実際に現地に足を運んで、自分の目で見て、肌で感じて、少しでもその土地の空気を味わってもらうのがいいんじゃないかなと思います。私が移住したとき、地元の人に「こっちにきてくれてありがとう」と言っていただけましたし、他の地域の人たちが移住しやすいような受入れの環境も整っていると思います。私自身も、そのような受入れの糸口になってもいいという心構えでいます。「思い立ったらすぐ行動」という感じで、とりあえず現地に来てもらえたらいいなと思います。私も今までそういう心持ちでやってきたので!