第8回 移住者インタビュー『陸前高田に来れたことがありがたい~アロマセラピーを通じて自分ができること~ 村上 可織さん』

村上 可織さん(神奈川県横浜市出身)

神奈川県横浜市御出身の村上さんは、28歳の時に岩手県北上市へ移住され、その後、御結婚をきっかけに御主人の地元である陸前高田市小友町へ来られました。

陸前高田市に来てみて。

陸前高田市は、自然が豊かで人が温かいです。最初は新しい土地で地域性も違うので不安でしたが、御年配の方から声をかけていただいたり、子供たちの事も気にかけていただいたりと優しい方ばかりです。また野菜やワカメ等のお裾分けをいただいたりと、様々な面で暖かく支えていただいて、本当にありがたいと感じています。

地域の移動について。

やはり車が無いと大変ですね。子供が大船渡市内の高校に(JR東日本の)BRTで通っていますが、最寄り駅までは車で送り迎えをしています。今、仙台にいる娘は帰省時は(陸前高田市まで)高速バスか、仙台から一関まで電車で、一関駅まで私達が迎えに行きます。バスで来ることも出来ますが、本数も少なく、時間もかかってしまい、観光であればそれも楽しいかもしれないですが、大変という話はよく聞きます。送迎は普段住んでいる地域から離れて、自然豊かな景色を見たり、途中でどこかへ寄ったりと気分転換になり楽しみの一つです。

お仕事について。 

アロマインストラクターの資格を持っているので、少しずつ自宅を使ってアロマセラピスト養成講座やクラフト作りなどの教室を開講しています。イベント等での講師活動を中心に、現在は活動をしています。アロマと一言でいっても範囲がとても広く、学ぶことも多いです。アロマは通信講座で習っている方も多いですが、私は教室の方がしっかりと学べると考えています。使い方を間違って使われている方も多いので、教室で正しい使い方を教えていければと思っています。アロマの教室に来てくれた方から、正しい使い方やリラックスの方法としてアロマを取り入れる方が更に増えていってくれればいいなと思います。またハンドトリートメントや認知症予防のためのヘッドトリートメントなど皆さんの健康維持に繋がるお手伝いができればと考えています。通うのが困難な場合は、私が道具だけ持って出張することもできますので、是非地域の方やまた女性だけではなく男性にも気軽に利用できるようにしていきたいと思っています。

アロマセラピーとの出会いは。

アロマとの出会いは、私自身も「アロマって何?」というところからでした。北上市に住んでいた頃、子育てをしながら介護の仕事をしていて、自分ではまだまだ大丈夫と思っていたのですが、頑張り過ぎて心身に不調をきたしたことがありました。当時の職場の同僚から、アロマサロンの先生を紹介され、アロマで自分を見つめ直したり、心身の状態、特に自分の心の状態が分かるものだということを知りました。そこで、薬物療法等もあるなかで、診療内科の先生とも相談しながら、アロマと薬の両方を使って治療していくことを選択しました。少しずつ体調が改善され始めた頃に、病院でこんなにもたくさんの人が自分と同じように体調を崩していることを知りショックを受けていたので、もし自分の様に変わっていくことが出来るのであればと、少しでも治療に役立てたいとアロマスクールに通い始め資格を取得しました。2011年3月の東日本大震災後、私の周りでも鬱になってしまう方がいました。それに気づきながら、何もしてあげることが出来ませんでした。今からでも遅くはないと思っています。少しでも力になれればと考えています。

資格を取得後、北上市ではボランティアで3ケ月に1回程度ハンドトリートメントをしていました。陸前高田市でも同じ活動をと思い、陸前高田市の市民講座の講師として登録しましたが1人ではなかなか難しく、一度アロマを取り入れて仕事が可能という事で介護職に戻りました。しかし現実は日々の業務で難しく、やはりアロマの仕事がやりたいと思い退職しました。この頃、陸前高田市竹駒町の雑貨屋に、陸前高田市限定の精油というのがあり、興味があってお店へ行きました。そこで菅野さん(前回インタビュー者)や宮城県気仙沼市の方と知り合い、(陸前高田市の交流施設)ほんまるの家のスタッフの種坂さんとのご縁もあり、ほんまるの家と気仙沼市のイベントでハンドトリートメントをする機会をいただきました。そこからまた少しずつ活動を再開し、今は依頼があればイベントで講師や、アロマ石鹸などのクラフ作りをしています。ほんまるの家では定期的にイベント等もさせていただいています。

 アロマオイルやアロマクラフト 

好きな香りは脳にいい。タッチケアを大切に。

今はハンドトリートメントを中心に活動しています。タッチケア(触れること)は大事だと考えています。また好きな香りというのは脳にもいいですし、触れることと香りでリラックスできたりプラス思考になることも出来ます。アロマセラピー(芳香療法)を体験した方の表情が、ぱっと笑顔に変わるのを見た瞬間にアロマの効果を実感させられます。 以前、地域の方にアロマで温湿布をさせていただいたことがあるのですが、若い方だけではなく御年配の方にもとても喜んでいただけました。その他にも子供向けイベントで、頭が痛いと言う子にアロマの温湿布をしてあげたら、「温かい、気持ちイイ!」と直ぐに笑顔になりとても喜んでくれました。今は心の病気の子も多いので、大人だけではなく子供にも是非アロマをする機会を増やして、元気になってもらえたらと思います。

アロマハンドトリートメント

陸前高田には頑張り屋さんがとても多い。

 陸前高田市へ来て頑張る人がとても多いと感じています。 「深呼吸をしていますか?」、「最近空を見ていますか?」と尋ねてみると、「見ていない」と返ってきます。休み方が分からないという方もいらっしゃいます。本当はもっと休んでいいと思います。嗅覚等の五感も鈍くなってしまいますし、思考も滞ってしまいます。頑張り過ぎて自分が体を壊してしまっては仕方がありません。そこまで頑張らないで欲しいです。そこを変えていかなければならないのかなと思っています。少しでも休んでねと伝えたいです。

こちらの方は震災について、自分も大変だったけど他の人はもっと大変だったから、自分は仕方がないと、気持ちに蓋をしている方がとても多いです。大変だったのは皆一緒で比べることはないんですよとお話させていただくと、おっという顔をされます。地域の方同士だと話しをするのが難しいという話も聞きます。そういう気持ちをアロマを通じて吐き出させてあげられればと思います。そうすれば受け止める余裕も出来ますし、また次に繋がると思います。震災から7年経ち、必死になって頑張ってきたのが、今ふっと力が抜ける時期でもあるのかなと思います。そこでガタガタと一気に崩れてしまわないためにも、今まで頑張ってきたのだから少し休んでみようかななど、自分の気持ち=心と向き合って欲しいと思います。それをアロマでお手伝い出来ればと考えています。

また子供達は子供達で、「今後は君たちが!」と言われることが多く、今後の街を託していきたいという気持ちだと思いますが、すごいプレッシャーになっていると思います。子供たちもまたそれを言うことが出来ず、ストレスを感じてしまう。子供たちにもっと主観をおいていけるといいのかなと思います。

今の子供たちは特に夢が無いと言います。アロマを通して、子供達にこんなことも仕事にできるんだと知ってもらい自分の好きなことや、やりたいことにどんどんチャレンジして生きて行って欲しいと思っています。私にも4人の子供がいますが、それぞれに方向性があります。今仙台で働いている娘は、以前こちらへ帰ってきたときに、ほんまるの家でお菓子教室をやらせていただきました。本人は今後もそういう活動していきたいと話しています。仙台では仕事をし、地元へ帰ってきた時には、自分のやりたい事をする。メリハリがついてよい刺激になっているようです。こういうのも有りだなぁ…と、娘から教わりました。私がアロマを再度始めたのもそんな娘を見ていて、1人でもできることって沢山あると思ったからです。

ほんまるの家にて

陸前高田に来られたことがありがたい。

震災で主人の職場もまた子供が通う学校も被災しました。修繕や再建などされましたが話と実状は異なり、こちらへ来てみて、ああ、こういうことが起こったんだなと、初めて分かることがたくさんありました。実際に話を聴き、現状を見ないと知らないことがたくさんあると思います。未来の為にも震災から学んだ今後の減災・防災対策や想いを語り継いでいかないといけないという実感がとてもあります。震災を忘れてはいけないけれど、心の部分は少しずつ軽くできるようなお手伝いをさせていただきたいです。

私も体調を崩してはじめて力の抜き方やアロマと出会って今があります。アロマを通じて、使命感ではないですけれど少しでもリラックスできるようなきっかけ作りをしていけたらいいなと思っています。

力を入れてではなく、前向きに頑張っていければと思います。陸前高田にたくさんの笑顔の花を咲かせていきたいです。主人と縁があり陸前高田に来れたことがありがたいと感じています。