【第1回けせん食財通信】『大船渡市さんま』×及川冷蔵株式会社 及川 廣章 さん

【けせん食財通信】

けせん食財通信では、きらりと光るけせんの財産「美味しい食」と「食の生産や加工に携わる人」を発信していきます。

第1回目のテーマは、水揚げ本州一を誇る大船渡市のさんまです!

今回は“漁師のほまぢ”を大事にする及川冷蔵株式会社にお邪魔して、実際にさんまの加工の現場を見せていただき、代表取締役 及川 廣章 さんに食材の魅力大船渡に対する想いをうかがいました。

及川冷蔵株式会社写真

及川冷蔵株式会社

代表取締役 及川 廣章 さん写真

代表取締役 及川 廣章 さん

 

さんまの旬といえば秋ですが、秋以外もさんまを美味しく食べられるよう、及川冷蔵株式会社ではさんまを加工した様々な商品を提供しています。

そんな及川冷蔵株式会社で、さんまの加工の一部始終を見せていただきました!

さんまの水揚げ 

 大船渡市魚市場に水揚げされたさんまは、専用の機械で大きさごとに仕分けされ、箱詰めされていきます。機械がなかった昔は、全て手で仕分けて箱詰めしていたそうで、人々の頭上をさんまがポンポンと飛び交っていたそうです(!)

冷蔵庫

 大きさごとに仕分けられたさんまは瞬間冷凍され、マイナス40度以上にもなるこの巨大な冷凍庫の中で加工の時を待ちます。瞬間冷凍することで、旬の美味しい時期のさんまの鮮度をそのまま保つことができ、冷凍によりアニサキスなどの寄生虫も死滅するので、生よりも安全にさんまが提供できるとのことです。そしてさんまは冷凍による劣化もしにくいので、とても扱いやすいのだそうです。

 ちなみに大船渡市は冷凍業が盛んで、技術も東北で一番進んでいるそうです(!)そしてこの業界では、冷凍庫のことをなぜか「冷蔵庫」と言うとのこと。及川冷蔵の会社の名前が「冷蔵」という由来でもあります。及川さんは、「昔は今より冷凍技術が発達していなかったので、冷凍のことを冷蔵と言っていた名残かな」とお話してくれました。

 

 解凍されたさんまは、1匹1匹丁寧に、人の手で内蔵を取り除いていきます。そのあと、さんまを「天日干し」に加工する過程を見せていただきました。

 及川冷蔵株式会社では、より自然に近い状態で天日干しができるよう、専用の天日乾燥室を設置し、降り注ぐ三陸の太陽と潮風をまんべんなく浴びられるよう、さんまを一列に並べて天日干しをしています。通常「天日干し」を作るときは、一度に多くの商品ができるように、さんまを縦に重ねて機械で紫外線を当てて作るそうですが、それだと風味が飛んでしまうため、ここでは徹底された衛生管理の元、このように自然に近い状態で天日干しをしているそうです。こだわりの環境で天日干しされたさんまは、より旨味が凝縮され、何倍もおいしい仕上がりとなるとのこと。「おいしいものを食べてもらいたい」と語る及川さんの、優しいこだわりが感じられました。

 

 そんなこだわりの商品を提供し続ける、及川冷蔵株式会社の代表取締役 及川 廣章さんに、会社について、さんまの食材の魅力や大船渡に対する想いを伺いました。


 

代表取締役 及川 廣章さん

代表取締役 及川 廣章さん

 

—はじめに、及川冷蔵株式会社のことを教えてください。

 及川冷蔵株式会社となったのは昭和32年からですが、もともとは江戸時代の終わりころから仙台藩気仙郡広田村(陸前高田市広田町)で漁業を営んでいました。自分で10代目になります。作っている加工品は、細かいものも含めると50種類ほどで、サケやイサダ、イカなど様々な魚介類を取り扱っていますが、量としてはさんまが一番です。さんまの商品で人気なのは、天日干しや骨抜きさんま、みりん干しなどです。一口骨抜きさんまも人気で、ホテルのバイキング、学校給食、高齢者施設などでよく提供されています。

 及川冷蔵が会社のコンセプトとして大切にしているのは“漁師のほまぢ”です。知っていますか?

 

―いいえ、“漁師のほまぢ”とはなんですか?

 漁師に昔から根付いている、「10匹魚を獲ったら1匹は家族のために」という意識のことで、とっておきの良いものを家族や自分のために少し分けるという考え方です。“ほまぢ”の由来は分かりませんが、「本松」から来ているともいわれています。地元の人は、魚は買うものではなくもらうものだと思っていることもあり、本当に良いものを地元の人が食べていないのではと常々思っています。及川冷蔵は、「地元の方にも、とっておきの良いものを食べてほしい」という“ほまぢの思い”で、商品を作っています。

一口骨抜きさんま

一口骨抜きさんま

―さんまの加工品を扱うことについて。

 さんまは冷凍に強く味も出しやすいので加工しやすいのですが、「さんまは安いもの」というイメージがあり、付加価値をつけても高く売れないということはあります。例えばさんまが不漁の年は、生魚であれば多少高くても売れますが、加工品を値上げすると売れなくなります。その分、生産性を上げていかないといけないですね。ただ、これからもさんまの加工は続けたいとっていますし、消費者の声や販売者からの要望を積極的に取り入れ、新しい商品の開発もしていきたいと思っています。

さんま味醂干し

さんま味醂干し

―震災の時は。

 震災前は、本社が大船渡市盛町字田中島に、第2工場が今の場所にありました。10mの津波により本社は全壊し、第2工場も天井と柱が残っただけでした。平成23年6月に再開した大船渡市魚市場と併せて同年の9月末から、鮮魚出荷を中心に事業を再開しました。当時は残った柱にビニールシートを巻いて風をしのぎ、海水を汲んできて作業をしていました。平成24年に天日乾燥室ができ、そこから水産加工が再開できました。本社と第2工場をあわせて1つにし、現在の場所に会社を再建しました。

 

―及川さんは、さかなグルメのまち大船渡実行委員会の委員長もされ、「さんまのまち大船渡」の定着に関わっておられますね。活動に関わるきっかけは何だったのでしょうか。

 震災後、外から来たいろいろな人と接する機会があり、地元の人も気が付かない地元の良いところを掘り出してくれたことで、「もしかしたら地元に誇れるものがあるのでは」と感じ始めているように思います。ただ、地元のものを地元で消費するという意識はまだまだ少ないのではないかと思っています。大船渡は、地元のものを食べないから、飲食店で地元のものを出さない、そして地元の人が地元のものを食べる機会が失われていくという悪循環に陥っているところがあります。

また、大船渡市というまちは、民間企業の力が強く、行政の力が弱いという構図がありました。市と一緒に何かする機会は少なく、官民協働といっても〇〇委員会に民間と行政が同席するといった、形式だけのものが多い印象です。そんな会議の場では率直な意見は出ない。本当の意味での官民協働とは言えないですよね。

「さかなグルメのまち大船渡実行委員会」は、民間と行政が意見を出し合って何かを作り上げていくという、本当の意味での官民協働で、活動すること自体に意味があると思っています。この活動を通して市の内部から根本的に意識が変わっていけば、地元のものに誇りを持つという意識が生まれてくるのではと思っています。大船渡がそういったまちになるよう、頑張っていきたいと思っています。

 さらに私たちは、大船渡の子供たちにもっと大船渡を好きになってもらいたいと思っています。そのためには大船渡に「誇れるもの」を作りたいその一つがさんまなんです

 

◆及川冷蔵株式会社ホームページ http://oikawaya.co.jp/

 


 

大船渡市のさんまが食べられる飲食店をご紹介!

「さかなグルメのまち大船渡実行委員会」では、さんまグルメフェアを開催中です。

平成31年1月31日(木)までの開催となりますのでお早めに!

 

■「さんまグルメ」メニュー提供店舗(大船渡市内24店舗)■

 うら嶋、海の幸ふるまいセンター、三陸おさかなファクトリー、大船渡秋刀魚だし黒船、大船渡プラザホテル「サーカス」、海山酒場、焼肉・韓国料理かもめ商店、生そば御料理千秋庵、KEIJI、カフェ・ド・カレーKOJIKA、こけし食堂、碁石海岸レストハウス、THE BURGER HEARTS、中華食堂西苑飯店、鰣不知、ノイ・マーレ、萬来食堂、美食厨房まるよし、宝介 大船渡店、BOBBERS、居酒屋舞、ラーメン専科、スナック Rica、レストラン海